フィラリア予防について
2015.05.15
フィラリア感染症は以前はワンちゃんの死因第1位の病気でした。
急性の症状はフィラリアの虫のために右の心臓の中の血流障害や弁の閉鎖不全がなどが起こり、急な症状の悪化がみられていきなり倒れることもあります。慢性症状では肺動脈の中にフィラリアの虫をためてしまい、肺の血管が狭くなったりつまったりする状態から肺血管の血圧が上昇し、心臓の機能が低下します。お腹の中に大量の水をためる、痩せる、食べなくなる、等が特徴です。
鳥取県の西部地区では予防を適切に行わなかったワンちゃんでフィラリア感染が散見されます。
室内に飼っておられる方も蚊が室内に入ってくる状況であれば、また、たまにワンちゃんを屋外に連れ出すことがあれば、フィラリア感染の可能性は否定できません。
フィラリア症は、予防薬を使うことで確実に予防することのできる病気です。ですので、この病気に愛犬が罹患するか否かはオーナーさんの意識次第と言い切ってしまってもよいかもしれません。
当院ではフィラリアのみに効く錠剤(味付き)のタイプを用意しています。予防は原則として蚊が飛び始めてから1ヶ月後くらいに開始し、蚊が飛び終わって1ヶ月後まで続けます。ですので当院では5月末~6月初めあたりから11月末~12月初めまでをフィラリア予防の時期としております。1年間有効の注射の予防薬は、薬効成分が体内に残存しつづけることから獣医師の間でも使用の是非について意見が分かれるところです。当院ではこの注射のタイプの予防薬は取り扱っておりません。
シーズン終わりあたりの予防が不十分となり、感染してからフィラリア予防でない時期を向かえると、2月あたりに急性フィラリア症の症状を呈する場合があります。シーズン終わりあたりの予防もしっかり行いましょう。
なお、ネコでは現在のところシーズン中の積極的なフィラリア予防が一般的にはなっておりませんが、ネコのフィラリア症発症の報告は米子でもあります。ネコでは犬のようにフィラリアの多量寄生はおこらず、少量の虫が迷入した組織での症状を示すため、犬のように典型的な症状はありません。また少量寄生のため、検査で引っかけるのが難しいということもあります。フィラリアに加えノミ、耳ダニや腸内寄生虫もカバーするお薬がスポットタイプで存在しますので、特に外に自由に出る子であれば、この様なお薬を1ヶ月毎で使用するようにされるのがよいのではないでしょうか。