去勢に関して
2015.07.01
男の子の去勢は、特に家ネコちゃんでは年頃になるといろんなところにおしっこをすることを止めるため、という意味があります(注;この習慣が既についてしまったコに去勢手術を行っても、この習慣をなくすことができないかもしれません)。
高齢な未去勢のワンちゃんで起こる会陰ヘルニアはおしりの筋肉が薄くなり、筋肉同士の合わせ目から腸管や前立腺、膀胱などが皮膚の下に飛び出して、場合により尿やうんちが出にくくなる病気です。必然的に高齢での手術になり危険度が増し、術式により術後も再発しやすく、腸管の変位が伴えば比較的困難な手術となり合併症も生じやすいですが、去勢手術がこの病気の予防となります。前立腺肥大、前立腺嚢胞などの前立腺の疾患も治療の一環として去勢が勧められます。未去勢犬で肛門周囲腺腫瘍が生じやすいこともあります。
精巣は生後しばらくしておなかの中からおまたの部分にでてきます。この様にして精巣が体温より低い温度で維持されることには意味があります。たまに片側の精巣がおなかの中に残ってしまっている(停留精巣)コがいますが、このような精巣は高齢になると腫瘍ができやすいのです。腫瘍の種類によっては大量にホルモンが放出されるようになり、血球の生産を止め、貧血になったり種々の感染症にかかりやすくなることがあります。通常去勢手術は開腹しませんが、このような場合には若いうちに停留精巣の摘出手術が強く望まれます。